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「外注」か「内製」か、を5つの基準で判断する

2013年10月10日に編み出した理論です。ある業務を自社で行うか、外部に任せるか、の判断を行う基準です。
 「外注するか否か」、という問題は、会社の中でも重要な経営課題であるにもかかわらず、
 基準を持って判定していない場合が大半だと思います。
 その理由は、「そもそも外注を考えていない」「外注ありきで動いている」「基準がわからない」という
 ことにあるため、「基準を明確化して決める」ということは非常にニーズのあることです。

 社内のケーススタディなどから、その基準として5つの要素に還元されることに気づきました。

 これから紹介する理論は、「そもそもその業務が必要か」を判定した上で、
 「発生頻度」「人材の定着率」「技術取得の難易度」「技術力による経営効果の差」「社内特異性」の5つ
 の基準から、「外注」が有利か、「内製」が有利か、を判定します。

理論詳細

<外注と内製の特徴>

「内製」の特徴:
  ・ノウハウが内製化される。(発生頻度)
  ・細かい対応が可能となる。(自社向けアレンジ)
  ・技術を習得するのに時間がかかる、人員が少ないと引継ぎロスのリスクがある。(技術習得、人材定着率)
  ・業務内容によっては、専門家にはかなわない。(技術力による経営効果の差)
 「外注」の特徴:
  ・ノウハウが残らない。(発生頻度)
  ・イレギュラーなどの細かい対応が遅くなる。(自社向けアレンジ)
  ・任せることができるため、技術習得に時間をかけなくてよい。(技術習得、人材定着率)
  ・専門家による高度な技術で業務を行う。(技術力による経営効果の差)

 一般的に、業務の規模が大きくなれば、外注よりも内製のほうがコストは安くすみます。


<理論概要>

○前段階:「業務自体の継続を考える」
   外注・内製の選択以前に、そもそもコストをかけてまで行うべき業務であるのか、を今一度考え直す。



○判定段階:「次の5つの基準で外注・内製を判定する」

・基準1. 発生頻度
  業務の発生頻度が低ければ外注、高ければ内製が有利。

・基準2. 人材の定着率
  人材が流出しやすければ外注、定着しやすければ内製。
  ここでいう「人材」とは「業務に集中できる人材」であり、
  「人数」「他の業務との兼ね合い」「休暇や人事異動に伴う引継ぎリスク」も含めて考える。

・基準3. 技術習得の難易度
  技術習得の難易度が高ければ外注、低ければ内製。
  他の業務とのシナジー効果も含めて考える。

・基準4. 技術力による経営効果の差(信用、収入、コスト、リスクの4点)
  素人とプロフェッショナルとの技術力の差による経営効果の差が大きければ外注、小さければ内製。
  ただし、自社に十分な技術力があればその限りではない(主力業務など)。
  経営効果の差、とは、信用、収入、コスト、リスクそれぞれについて金額換算で比較する。

・基準5. 社内特異性(自社向けのアレンジの必要性の大小)
  会社独自のやり方が共通のやり方に近ければ外注、共通から大きく外れていれば内製。


○結論段階:「上記の基準で差があった方を採用し、差がなければ内製が有利」


  なお、上記の基準はあくまで「外注か、内製か」を判断するものであり、業務の方向性を基準に沿って判断するものではありません。
  (たとえば、基準1によれば、「業務の発生頻度が低ければ外注が有利」であるが、「外注に決めたから業務の発生頻度を減らしたほうがいい」というわけではない)


<補足説明>

 「1.発生頻度」
 外注の特徴は、ノウハウが残らない、逆に内製の特徴はノウハウが残りやすい、ということにあります。
 したがって、発生頻度が高い業務に関しては、ノウハウが残りやすい内製が有利といえます。
 逆に、発生頻度が低い業務は、ノウハウを残すメリットが少ないため、外注が有利といえます。

 「2.人材の定着率」
 人材=ノウハウ=業務を行うことができる人数、と考えればわかりやすいと思います。
 次の「技術習得」にも関わってくる項目です。
 業務継続のリスクに関わる項目です。外注すると、このリスクを外部化することができます。
 その業務についてわかる担当者が常にいる状態では、内製が有利です。
 逆に、すぐ人がやめる、担当者が他の人に引き継がない、担当者が忙しくてその業務にかける時間がない、という状態では、外注が有利となります。

 「3.業務の特殊性&習得の難しさ」
 業務技術を習得するには、時間がかかります。外注すると、このコストを外部化できます。
 したがって、このコストが大きければ外注する効果が大きく、外注が有利、そうでなければ内製が有利となります。
 ポイントは、普段の業務の延長線上にあるか、まったくの新規な技術であるか、また、習得にかかる時間はどれだけか、ということです。
 習得にかかる時間が多ければ、それだけ普段の業務にかける時間が減り、担当できる人数も減るため、ここの見積もりは重要となります。


 「4.技術の違いによる経営効果の差」
 外注の特徴は、専門家による力を使うことです。
 したがって、それによる効果がどれだけ異なるか、がポイントとなります。
 経営効果は、「収入」「費用」「信用」「リスク」の4点からなります。
 専門家に任せるとこれらの効果が大きく変わるのであれば、外注が有利となります。
 逆に、それほど変わらないか、もしくは社内に十分な技術力があれば、内製が有利となります。


 「5.社内特殊性」
 一般的な技術を使いまわせるか、社内アレンジがどこまで大きいか、の項目です。
 社内アレンジが大きければ、その分コストがかかります。また、小回りが利かなくなります。
 あまりにも社内アレンジが大きく、一般的な技術からかけ離れるようであれば、
 業務自体の見直しか、内製を考えたほうがよいでしょう。


という中でのバランスによります。

 極端な例を挙げると、
@ 「数年に1回の業務」で、
  「その技術を習得するためにそれ専門の人員を雇うか数年かけて育成しなくてはならない」が 
  「人員が流出しやすく」、
  「素人とプロでは経営効果が大きく異なり」、かつ
  「当社独自の特殊性はない」のであれば、
  外注したほうがよく、

A 「毎日発生する業務」で、
 「他の部署の人間でも少し勉強すれば技術が習得でき」、
 「人材も定着しやすく」、
 「素人とプロでの技術の差による経営効果の差はそれほど変わらず」、
 「一般的な技術に加え、当社独自のアレンジ部分が大きい」のであれば、
 内製化したほうがよいでしょう。

ちなみに、どちらを選ぶにしても、
 「コストが大きく、利益が小さい」のであれば、「業務そのものをなくす」ことを視野にいれたほうがよいでしょう。




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